雪解け

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年3月1日
雪解け

  「自ら出席し、マスコミオープンの下で説明責任を果たしたい」。公開するかどうかで与野党が折り合わず、衆院政治倫理審査会の開始が見送られた2月28日、岸田文雄首相がこう表明し、きのう、きょうの開催が決まった。公開に消極的だった安倍派の出席議員に圧力をかける「捨て身」の策と指摘された。

   一国民としては疑問だらけだ。そもそも誰に対する説明なのかを考えれば、公開は当然過ぎる結論だ。それを渋りながら「説明責任を果たしたい」とは、どういう論理なのか。党総裁が所属議員に対し、公開審査に応じるよう指示することなく、なぜ圧力をかける「奇策」に出なくてはならないのか。出席議員は、それほど公開の場では言いたくないことをしていたのか。数日間のやりとりを見ているだけでも政治不信は増す一方だ。

   審査会初日、岸田首相は疑念を招いたことを陳謝し、在任中に自身のパーティーはやらないと述べた。だが今さら、謝ってほしいわけではなく、出席者に求めたいのは「説明」だ。裏金づくりはいつ、誰が始め、何に使われたのか―。

   きょうから3月。その響きだけでうれしくなる。まだ何回かは降るだろうが、雪は目に見えて解けていく。一向に解けない政治のモヤモヤをよそに。(吉)

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