日本酒造りで複数の蔵元がプロジェクトを組むケースが全国各地で目立っている。ライバル同士が共通テーマで技術を高め合い、より魅力的な酒を生み出す。秋田県5蔵の「NEXT5」、長野県5蔵の「59醸(ごくじょう)」などが有名だ。記者も各地から取り寄せている。
中でも異色が山形県4蔵の「山川光男」。老舗の酒造会社が代表銘柄から一文字ずつ取り、同名のユーモアあふれるキャラクターを作った。狙いも独創的で、今年のテーマは「時代を越えた酒造り」。このほど発売の春酒は未来を見据え、少量の二酸化炭素(CO2)を封入した。脱炭素もついに、ここまできた。
こちらも異例の連携で、最先端の取り組みを、苫小牧で実現させようとしている。20日に出光興産、ENEOS(エネオス)、北海道電力が発表した国内最大級のグリーン水素サプライチェーン(供給網)構築検討。CO2を大量に排出してきた石油元売り大手が手を結び、脱炭素社会化をリードする構図だ。
再生可能エネルギーの導入やコスト面など課題も多いが、苫小牧エリアがものづくりやエネルギー供給の拠点であり続け、新たな産業創出につなげるためにも重要な事業。未来に向けて変わり続け、挑戦する志に期待したい。(金)