投げ釣りファン待望の春のクロガシラシーズンが、苫小牧よりひと足早く室蘭港で開幕した。地元の釣り人によると、今月中旬からぼちぼち釣れだしており、早場の港内有名ポイントは既に釣り人が集中している。地元はもちろん苫小牧、札幌方面から釣りファンが訪れており、この時期らしい良型クロガシラの手応えを早々と堪能している。
室蘭港のクロガシラ釣りは例年、苫小牧より数週間早く始まる。釣り人のもっぱらの経験則だが、日本海にニシンが岸寄りするタイミングから少し遅れて釣れだすという。今季も中旬からカレイの便りが届いていて、期待を裏切らない40センチ級の良型や子持ちの個体が全体で数匹上がっている。
同港の人気ポイント、航路に突き出ている通称・L字埠頭(ふとう)でさおを出していた札幌市の釣り人は、泊まり組の一人。約4メートルの投げざおを2本セットし、自作の胴突き仕掛けを航路に向けて投げ込んでいた。餌は生イソメ。周囲には仕掛けの針素部分にカラフルな飾りを付けたり、コマセ籠を仕掛けの下部に付けたりして集魚効果を狙っている人もいたが、この釣り人は小さなビーズだけのシンプルな仕掛けだ。
魚信があったのは午後4時前。さお先が一度お辞儀をした後、ピンと張っていた道糸がたるんでふけたところで合わせた。ずしりと重々しい手応えに良型を確信したという。ゆっくりとリールを巻き、魚を足元に寄せた後、隣人がたも網ですくい取った。
岸壁に上げて長さを計測すると、うれしい45センチ。肉厚で腹部分が膨らみ、子持ちを期待させるクロガシラの良型だった。
釣り人によると、40メートルほど投げた所で反応があったという。「この時期としては大満足です」と大喜び。まだまだ釣れない人も多い時期だけに、周囲の釣り人は羨望(せんぼう)のまなざしを送りながら祝福していた。
室蘭港のクロガシラ釣りは、これから春にかけて座布団クラスの大型も期待できる。追い掛けるようにそろそろ苫小牧港でもクロガシラが釣れだすだけに、今後の釣況が注目される。