白老町は27日、産業経済課の元職員が、町の財政援助団体の活動資金から2度にわたり計9万円を私的流用していたことを公表した。関係する職員の懲戒処分と合わせて同日の町議会全員協議会に報告し、大塩英男町長は「町民と議会、関係者の信頼を損なうこととなり、責任を痛感している」と陳謝した。自らの4月分の給与を10分の1減額する条例案を3月の町議会定例会に提案する方針。
町によると、職員は2021年4月から23年7月まで同団体の会計事務職員を兼ね、口座を管理する立場だった。昨年12月下旬、前年度分の定期監査で、同団体の会計帳簿などに予算書や事業計画にない支出が分かり、この職員に聞き取りしたところ、今年1月12日に私的流用を認めた。22年6月と7月に、それぞれ6万円と3万円を口座から引き出し、自らの借金の返済に充てたという。同12月27日までに全額を口座に戻していた。
町は、団体の通帳と印鑑を職員が一人で出し入れできる状況だったとし、「組織的なチェック機能が働かなかった」と発生の要因を挙げた。
町は「信用失墜行為に当たる」としながらも、発覚後に元職員が死亡したことから本人の処分は行えず、直属の上司だった50代男性職員の監督責任を問い、21日付で3月分の給与を10%減額する懲戒処分とした。
町の調査によると、元職員が事務局を担当していた他の2団体についても私的流用が分かり、今後、当該団体に説明する。流用分は全額、返済が確認されている。
町は再発防止について年度末までに内規を定め、通帳と印鑑の管理体制を見直す。職員に対する研修も実施し、現金の適正管理を徹底する方針を示した。