むかわ町郷土史研究会(土井重男会長)は、地域の課題や埋もれた情報などを伝えるリポート誌「郷考」第5号(A4判、14ページ)を発刊した。町教育委員会が、鵡川流域や穂別川流域の遺跡をチャシ(河川や流域の監視場、集落の縄張りなど)跡としていることや町内で行った遺跡発掘調査の報告への見解の違いを明らかにし、再調査を求める内容になっている。
同会は宮塚文化財研究所(札幌市)と2023年に行った合同調査で、北海道教育委員会に登載されている鵡川中流域左岸の「オロロップチャシ跡」と「栄大山祗神社裏山チャシ跡」に関し「チャシ跡ではない」と分析、「湯の沢川1遺跡」についてはチャシと判断した理由が不透明なことから「再調査が必要と考える」と指摘している。また、町汐見にある道指定史跡「鵡川盛土墳墓群」から奈良時代の直刀が出土していたとする見解には、一次資料の提出を求めた。
冒頭では、14年5月の町広報に掲載された町文化財審議会の町教委への答申「むかわ町における郷土資料の文化財の収集・保管及び活用のあり方」の内容について、資料が現在どのように生かされているのか疑問を呈した。昨年制定した郷土資料受け入れ運用方針の改善、運用に関する方向性にも疑問を投げ掛けている。
これまで同会は町教委に対し、22年8月に行われた湯の沢川1遺跡の調査報告の見解を求めたほか、オロロップチャシ跡・栄大山祗神社裏山チャシ跡をチャシとすることへの異論を23年5月に文章で提出しているが、明確な返答はないという。
土井会長は「間違いであれば放置しておけず、再度調査し、明らかにしてほしい」と訴える。これを受けた町教委は「(記載されている内容を)今後の調査の参考にする」と話している。
第5号は120部印刷し、希望者に配布する。問い合わせは土井会長 電話0145(43)2202。