日が長くなった。昨日はまた雪になったが、ジェットコースターのような気温の乱高下が続く。背丈ほどあった札幌の雪山も少し小さくなった。うららかな春日和に気持ちよく吹き寄せる風を「光風(こうふう)」と呼ぶそうだ。先日は、そんな風も吹いた。春が近づいている。
春は別れの季節でもある。道庁2階にある東北以北では最大とされる大所帯の道政記者クラブでも、また各社の異動の時期に入った。「今度は名古屋です。お世話になりました」、「また東京に戻ります」…。当初は得体の知れない感染症だった新型コロナウイルスの混乱や、激戦の国政選挙の裏舞台の取材現場を共にした若い記者たちも多い。職業柄、転勤は当たり前とはいえ、少し寂しい。
間もなく卒業、進学、就職シーズン。この春に親元を離れて、都会で暮らす若者たちも多いだろう。自分自身も18歳で上京した。最初に降りた渋谷駅南口前の雑踏で、ロックシンガーに転身していたカルメン・マキさんを見かけたことを思い出す。大都会なのだと改めて思った。
まだ何者でもない若者が、後ろ髪を引かれる思いで古里を離れて都会へ向かうのは何故か。さまざまな理由はあるのだろうが、やはり「夢」であるような気がする。もうすぐ春がやって来る。(広)