白老町高砂町の工芸作家で町伝統文化継承者、山崎シマ子さん(83)は22日、大塩英男町長を表敬訪問し、2023年度文化庁長官表彰の受賞を報告した。町民第1号となる栄誉に山崎さんは「皆さんのおかげ。うれしいです」と静かに笑みをたたえ、謙虚に語る。大塩町長は「今後もアイヌ文化の技能継承にますますご活躍を」と述べた。
文化庁長官表彰は昨年12月に同庁から発表された。全国から83個人4団体が選出され、道内からは山崎さんを含む3人が選ばれた。
山崎さんは、1986年に旧アイヌ民族博物館で衣服の制作や刺しゅうなど女性の手仕事を中心に技術の習得や伝承に携わり、今年で活動26年目を迎える自身のサークル「テケカラペ(アイヌ語で手仕事)」を中心に後継者を育成。地元アイヌ古式舞踊を伝承する「白老民族芸能保存会」にも参加しており、無形文化財の伝承・保存に貢献している功績が認められた。
表彰式は昨年12月19日に京都市で開かれたが、都合が付かず出席を見送り、今年に入って賞状が郵送されてきたことから同日町長表敬をした。
21年にアイヌ民族文化財団からアイヌ文化賞、22年には白老町文化賞を受賞し、町無形民俗文化財の伝統文化継承者にも認定された山崎さん。町役場を訪れ、「周囲の求めに応じて刺しゅうや編み物など手仕事全般を指導している。自分から積極的に技能伝承を後進に押し付ける気はないが、思いがある人は、どんどん質問してほしい」と伝承意欲のある若い人の登場を待つ思いを語った。
活動拠点の白老生活館は現在、改築中で、工事が終わるまでは町内にある身内宅で毎週月曜日にサークル活動を展開。会員9人が学び、1年かけて着物や編み物を完成させる取り組みを進めていることも伝えた。