安平町の追分中学校(渡辺知峰校長)は、生徒の企画でサブスクリプション(定額制)サービスを活用した音楽配信を導入し、昼の放送時間に活用している。リクエストに応えて幅広い楽曲を届け、喜ばれている。学校関係者によると、町内では同校が先行してサブスクの音楽配信を利用しているが、「他校では聞いたことがない」という。
「1曲目は1年生のラジオネーム・ヨルパッチョヘルセーニョさんより、イクマあきらで『ダイナミック琉球』」―。20日の昼の放送は、司会を担当する1年の榊悠汰さん(13)の曲の紹介に合わせて、別の生徒がタブレット端末と音響を操作して曲が流れた。途中、この日の献立メニューに使った食材や特徴、作り手の思いに関する話を挟み、スピッツの「空も飛べるはず」、nobody knows+(ノーバディーノウズ)の「ココロオドル」と続いた。
同校は、昼の放送で生徒のリクエストに応じて曲を紹介する場合、主に持ち込みのCDやデータを使っていたが、近年はCDを買う人が減り、流す曲のジャンルに偏りが生じていた。
このため、昨春の生徒総会でサブスクによる音楽配信活用を求める声が上がったが、この時は当初予算に入っていなかったことなどから反対多数で否決された。しかし、後期の生徒総会で再度要望があり、広報常任委員会が全校生徒にアンケートを実施。賛成多数で生徒会予備費に余裕があったことから、学校のタブレット端末を使い、月額980円でサービス利用を12月に開始した。生徒たちに好評でリクエストも多数寄せられるようになり、3年の田澤綜祐さん(15)は「紹介曲のマンネリ化を防げるようになった」と手応えを語る。
音楽配信の導入で、イントロクイズやカラオケ大会など生徒自らが考案した企画も充実。授業での利用にもつながっているという。広報常任委の委員長を務める2年の下出悠矢さん(14)は「学校祭などの学校行事にも使えるし、先生方のお薦め曲なども紹介できたら。学校にあるCDもうまく使い、楽しい放送を続けていきたい」と意欲を表した。
同町は国連児童基金(ユニセフ)が世界各国で行う「子どもに優しいまちづくり事業(CFCI)」を推進しており、同校の佐藤靖樹教頭は「この取り組みは、町が掲げるCFCIにもつながるのでは。今後も生徒の企画をできるだけ実現していきたい」と話していた。