地方の高校が展開する「高校魅力化プロジェクト」とまちづくりの結び付きについて考える講演会が20日夜、厚真町総合福祉センターで開かれた。厚真、むかわ両町とオホーツク管内大空町で高校の魅力化に関わるスタッフ、現役生徒が登壇し、事例や実体験から得られた思いをそれぞれ語った。
厚真町の公営塾「よりみち学舎」スタッフの川嶋圭さんは、塾を利用する生徒たちが通う厚真高校の実態として「苫小牧市内から通う生徒が全体の80%以上を占め、バス通学をしているのですぐに帰ってしまい、何も町のことを知らずに卒業してしまう」と説明。地域住民と関わりを持ったり、学校外のイベントに参加したりする機会の創出に力を入れており、「放課後や土日曜日に厚真に滞在する時間が増え、高校生の顔と名前を認知する人が増えた」と話した。
厚真高1年の蹴揚葉月さん(16)は、胆振東部地震の経験を伝える高校生被災地ガイド「さざんか」のメンバーとして活動し、「思い通りにいかないこともあるが、仲間と一緒にいろんなことができる楽しさがある」とやりがいを語った。
鵡川高校で高校魅力化コーディネーターを務める阿部愛美さんは、町や高校、関連団体でつくる「高校魅力化コンソーシアム」について、「今年度は100人を超える大人たちが関わってくれている」と説明。むかわ町独自の探究学習「むかわ学」などを通じて、「主体性を持ち、自分がこうしたいとはっきり言えるようになって卒業する子が多くなった」と実感を述べた。
国内留学制度「地域みらい留学」(高校生対流促進事業)の留学生として、現在鵡川高に通う東京・私立富士見高校の矢代茉鼓さん(17)は1年間のむかわ町暮らしを通じて、「同じ日本にいながら多様な価値観、生き方があることを知った。いろんな人が助けてくれる温かみや、小さなコミュニティーでつくれる密な関係、人とのつながりが町の魅力」と目を輝かせる。千葉県立柏中央高校の本郷夏奈さん(17)は「自分の”なりたい大人像”が形成された1年。勉強だけではない学びを見つけることができた」と振り返り、「留学が終わっても、むかわ町に恩返しがしたいし、魅力をいろんな人に伝えていきたい」と希望を語った。
このほか、地域での高校魅力化や移住定住促進などを展開するPrimaPinguino(プリマペンギーノ・東京)の岡本真実プロジェクトマネジャーが、2021年に開校した町立大空高校での取り組みについて紹介した。