壁の時計の秒針を見ながら50秒という時間の長さを体感してみた。1分弱は、生活の中では長くない。しかし、それが建物を揺すり、破壊していく時間だとしたら―。ガタガタ、ユラユラつぶやきながらの50秒間の、何と長かったこと。
元日夕方に起きた能登半島地震の複雑さが明らかになっている。9日付本紙の気象庁の発表では4時10分8・3秒に地震の規模を示すM(マグニチュード)不明の大地震が発生。同9・5秒にM5・9、同22・5秒にM7・6が続き、まとめてM7・6の地震とされた。10分台には震度5強以上の揺れが約50秒続いた。12分16・6秒にはM5・7の地震も発生した。12日付の北海道新聞には京都大防災研究所の解析も報道された。先の地震を追いかけるように、次の地震が始まっている。一帯の地震には「連動を念頭に被害想定が必要」という。建物の建て替えや補強、幹線道路や避難路、上下水道の設計段階からの点検が必要なのだ。
北海道や東北の太平洋岸を大津波が襲う可能性のある日本海溝・千島海溝地震はどんな長さの揺れになるのだろう。怖くても想像しなければ、きっと対策は進まない。国会は、大地震と被災者や被災地の惨状を横目に、派閥だ金だと揺れるばかり。政治の再点検も必要か―。(水)