厚生労働省は19日、健康障害を減らすため、飲酒に関する初のガイドラインを正式決定した。疾患ごとに発症リスクが高まる酒量を純アルコール量換算で示し、適量を心掛けるよう呼び掛けている。高血圧などは少量でもリスクが上がると警告した。
ガイドラインは、生活習慣病リスクを高める純アルコール量の参考値として「男性1日40グラム以上、女性20グラム以上」を提示。20グラムはビール中瓶1本(500ミリリットル)、日本酒1合(180ミリリットル)に相当する。
発症リスクが高まる量として大腸がんは男女ともに1日20グラムとした。ただ、高血圧や男性の食道がん、女性の出血性脳卒中などは少しでも飲むと発症リスクが高まる恐れがあると指摘。「より少ない飲酒量とすることが望まれる」と強調した。
健康への配慮として、あらかじめ量を決めて飲む▽飲酒前や飲酒中に食事を取る▽合間に水を飲む▽1週間のうち飲酒しない日を設ける―などが必要と説明。短時間の大量飲酒や他人への強要、不安や不眠を解消するための飲酒は避けるよう求めた。
厚労省などによると、成人1人当たりの酒類の消費量は1992年をピークに減っている一方、アルコール依存症の総患者数は2017年時点で4・6万人と、96年の4・7万人と同水準となっている。