3月3日に開催される東京マラソンに、義足のウクライナ人2人が参加する。「負傷した兵士にまた生きるための勇気を与えたい」。自分たちが走る姿を見せてウクライナ兵を勇気づけるとともに、別の負傷兵の治療に必要な資金を募っている。
オンラインで取材に応じたランナーの1人、ロマン・カシュプルさん(27)は2019年6月、ウクライナ東部のドンバス地方で兵士として活動中に地雷を踏み、右足を負傷。義足が必要になり、ふくらはぎから下を切断した。22年2月のロシア軍による侵攻開始後も、家族と離れて戦地で訓練の指導などに当たってきた。
ロシア軍の激しい砲弾攻撃などで死を意識したこともあったというが、「自分の命が犠牲になっても、大事な故郷を守りたいという気持ちが強かった」と振り返る。
幼少時からサッカーや格闘技などをしており、義足を付けた後も「またスポーツをしたい」という思いがあった。そんな折、手足を失った兵士のための募金活動をしているウクライナの慈善財団「CITIZEN」と出会い、義足でのマラソンを開始。昨年にはロンドンやニューヨークなどで開かれたマラソン大会に参加し、負傷兵を支援するための資金を集めてきた。CITIZENの担当者は「質のいいリハビリや義肢を提供するためには、経済支援が必要だ」と訴える。
東京マラソンへの参加を「自分への挑戦」と位置付け、「自己ベストを更新したい」と意気込むカシュプルさん。ほかの負傷兵のために何ができるか考えてきたといい、「自分がマラソンを走ることで、同じ義足を付けている人たちがまた人生を頑張れるようになれば」と話した。