どこまでも

  • 土曜の窓, 特集
  • 2024年2月10日
どこまでも

  来月、旭川へ仕事で行くことになっている。それが今から楽しみで、仕事の前後にはレンタカーを借りてどこへ行こうかと、暇さえあればネットで調べているきょうこの頃。湯船にもスマホを持ち込んで調べ、引き続きベッドで横になって調べ続け、そのまま眠ってしまい翌日には調べた内容をほとんど忘れ、同じことをきょうも繰り返す。大丈夫なのか、わたしは。

   それでも調べ始めて1カ月、何となくだが行きたいところが固まってきた。神社が好きなわたしは毎日どこかの神社へごあいさつにいくのが日課だ。神社の数はコンビニの数よりも多いそうだが、いつか全ての神社をコンプリートしてみたい。旭川には旭川神社さん上川神社さん。おお、いいね、と由緒や御祭神を読み込む。

   ふと地図を見ると、道の駅が近くにあり、調べてみるとフードコートがあるではないか。なんともおいしそうなラーメンとあんかけ焼きそば。濃い色合いでとろりとしたあんが強めに見える。ここも行かねば。

   そうか旭川とは美瑛町も近いのかと調べていくと青い池なるものが出てくる。なんと神秘的な。コバルトブルーの池のまわりは白樺、カラマツが立ち枯れている。行かねば。

   秘湯も大好きなわたし。この辺りにもあるのかな、と調べていくと茶褐色の温泉が。これ土ではなくてお湯? 十勝岳温泉のうち最も高い標高1280メートル地点。露天風呂からは十勝岳連峰の絶景が見られるというではないか。3月の北海道はまだ向かいの山々には雪が残っているのだろうか。それとも新緑が広がっているのだろうか。絶景を見ながら、澄んだ冷たい山の空気を吸いながら、鉄分だらけの茶色の湯に漬かる。行かねば。

   美瑛町まで行けば、もしや富良野も近いのか。富良野といえば、倉本聰先生。15年ほど前に一度お会いしたきりだが、いつかもう一度お会いしたい。倉本先生がいらっしゃらなくても、ソウズバーに行ってノンアルコールカクテルでも一杯いただいてこようか。石畳を歩いて店内に入り、世界のタバコのディスプレイに囲まれながら葉巻の香りに包まれたい。今にも行かねば。

   そうか。富良野まで行けば帯広も近いのか。ずいぶん地図上では近く見える。帯広といえば幸福駅に行ってみたい。かつては恋人の聖地だった。幸福駅ができたのは昭和48(1973)年。わたしと同級生。お互い50年頑張ってきたものだ。ノスタルジーを感じながら、ここは写メではなく、「写ルンです」で写真を撮ろう。ここにも行かねば。

   わたしよ。お前は数時間の仕事の合間にどこまで行くつもりなのだ。

  (タレント)

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