宗教法人を所管する盛山正仁文部科学相と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係が、国会の新たな焦点に浮上した。盛山氏は7日、教団と政策協定を結んでいたなどとする報道を事実上追認。岸田文雄首相は続投させる方針だが、自民党内からも辞任論が上がる。派閥裏金事件と合わせ「ダブルパンチ」になりかねない情勢だ。
◇「うすうす思い出した」
「こういうことがあったかなと、うすうす思い出してきた」。7日の衆院予算委員会で盛山氏は、2021年衆院選での教団側推薦状を受け取ったとされる自身の写真を示され、ようやく事実関係を認めた。
教団側による選挙支援が朝日新聞で報じられた6日の段階では、「はっきりした記憶がない」と、あいまいな言い回しに終始していた。
7日には盛山氏が教団側との「政策協定」に署名していたと同紙が新たに報道。にわかに記憶を取り戻したという盛山氏は、地元有権者から集会に呼ばれた際に「(会の)最後に急に話が出て、よく読むことなくサインしたかもしれない」と述べ、細部の状況を交えつつ協定を結んだことをほぼ認めた。
◇解散手続きに疑義も
盛山氏は教団への解散命令請求に関する責任者の立場を担う。東京地裁で今後、審理が本格化する見通しだが、このタイミングで教団との接点が発覚したことにより、手続きの公平性などに疑義が持たれかねない。野党からは「利益相反関係で全くふさわしくない。即刻辞任すべきだ」(社民党の福島瑞穂党首)との声が上がった。立憲民主党の西村智奈美氏も委員会で、変遷する盛山氏の説明に「大臣以前に政治家として適格性に欠ける」と辞任を求めた。
22年9月に自民が公表した教団との接点に関する点検で、盛山氏は選挙支援を明らかにしていなかった。
盛山氏のケースについて、関係者が「既視感がある」と話すのが、22年10月の山際大志郎経済再生担当相(当時)の辞任だ。山際氏は教団との関係について「記憶がない」と明言を避けたものの、接点が相次いで明らかになった。かばい続けた首相は傷口を広げる形で最終的に事実上の更迭に追い込まれた。
7日の予算委では、林芳正官房長官も教団関係者と面会していたと首相が明らかにした。前日の審議を受けて閣僚に改めて確認したところ新たに判明したといい、首相としては次々と他の閣僚に飛び火する事態は何としても避けたいところだ。
一方で、盛山氏にさらなる接点が見つかれば「政治とカネ」への対応に続き、「後手」との批判が高まるのは必至。首相は、野党の更迭要求に対し「現在は(教団側と)関係を一切有していない」と反論した。くしくも盛山、林両氏はいずれも岸田派の出身者。首相は派閥裏金事件で安倍派の閣僚・党幹部を辞めさせた経緯があり、「二重基準」との批判もくすぶる。
自民中堅は「首相に近い盛山氏だからこそ、進退の判断は早いほうが望ましい」と話す。自民筋も「この答弁が続けば続投は苦しい」と漏らした。
公明党の高木陽介政調会長は記者会見で、盛山氏を巡る政権の対応に「最終的に国民が納得するかどうかだ。そこも含め、説明責任を尽くしてもらいたい」とくぎを刺した。