安平町教育委員会が主催するスポーツ指導者向けの研修会が5日、小中一貫の義務教育学校「早来学園」で開かれた。町内の少年団や中学生を指導するスタッフ、保護者、教育関係者ら20人が参加。試合などスポーツでの「勝利」と「人間的成長」の両立を目指した「ダブル・ゴール・コーチング」をテーマに子どもとの関わり方を再確認した。
国内で同コーチングの普及を図る「NPO法人スポーツコーチング・イニシアチブ」の青野祥人さん、後藤晃一さんが講師を担当。総合型地域スポーツクラブ「NPO法人アビースポーツクラブ」が共催した。
後藤さんは、五輪で「メダル大国」と言われる米国やノルウェーの共通点として、「選手のスポーツ経験をポジティブなものにする長期的に質の高い意欲を引き出す指導法が挙げられる」とし、「選手の欲求を満たすことがパフォーマンスの向上、人間性を育てる」と話した。
現在都内の中学校で教員として働く青野さんは、勝者の概念について「従来型の試合に勝った人、成績を残した人ではなく、競技や種目で自ら成長し続けることができる人」と説明。結果ではなく「努力や過程を褒めてあげること、関わり方を変えていくことが成長マインドにつながる」と強調した。
これらの情報提供を基にグループに分かれてワークショップを行い、子どもの能力を引き出す方法などについて議論を深めた。少年野球チームでコーチを務める加藤公敏さん(51)は「指導者として同じ志を持っている人が多くいて心強く思う。子どもたちを教える大事さを教わり、明日からまた頑張ろうと思った」と気持ちを新たにしていた。