反省

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  • 2024年1月31日
反省

  1月がきょうで終わる。元日の夕方に令和6年能登半島地震が発生し、長くつらかった1カ月。仮設住宅も2月には入居が始まる。停電や断水も完全復旧にはほど遠いものの、めども見え始めた。

   私たちは大きな地震のたびに備えの点検、強化を図ってきたつもりだ。わが家では1982年の浦河沖地震の後、家族の布団を敷く場所、ベッドの置き場所を頭付近に家具が倒れてこない、重たい物が落ちない場所に変え、転勤のたびに点検してきた。新聞かテレビで知った防災の知恵だ。この実践で家族4人が年齢を重ねられた。通帳や現金、年金手帳などの貴重品は近くにまとめて置いてある。この数十年の地震で特に後悔したことはない。しかし、震度7の揺れや大津波に襲われた経験はなく、不安は大きい。

   重大に意識していなかった弱点に、この数年気付かされる。「老い」だ。この体で、足で家屋の倒壊や膨大な泥水の流れに耐えて、避難所まで到達することができるのだろうか。困難を想像すると気が遠くなる。能登半島では住民の高齢化や老朽化した木造住宅が被害を大きくしたと分析されている。昭和生まれの自分の体、昭和時代に造成された新興住宅地や家屋が安全安心という根拠など、まったくない。この1カ月間の反省だ。(水)

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