自民党は30日、裏金問題に関与した派閥幹部らの事情聴取を、週内にも開始する方向で調整に入った。結果を踏まえ、党則に基づく処分を検討する。一方、野党4党は自民に対し、全所属議員の裏金受領の有無を調査し、2月5日までに報告するよう要求。応じなければ審議拒否も辞さない構えだ。
2024年度予算案について、政府・与党は5日の衆院予算委員会での実質審議入りを目指しており、野党との駆け引きが早くも激しさを増している。
聴取は、岸田文雄首相(党総裁)が指示したものだ。自民の森山裕総務会長は30日の記者会見で、着手を急ぐ考えを強調。「どういうメンバー、スケジュールでやるか確定していない。今、その作業をしている」と説明した。
関係者によると、党の政治刷新本部の下に森山氏がトップを務めるチームを設置する案が浮上。聴取対象は、裏金問題の中心となった安倍派幹部にとどめるべきだとの声が強い。森山氏は会見で「丁寧に進めていくべきだ」と述べ、一定の時間が必要との認識を示した。
これに対し、立憲民主、日本維新の会、共産、国民民主の野党4党は30日、自民に全所属議員の調査を求めることで一致。立民の安住淳国対委員長が、自民の浜田靖一国対委員長に伝えた。安倍派幹部らによる衆参両院政治倫理審査会での弁明も求めた。
安住氏は記者団に「(調査結果のリストを)提出しなければ、その先は責任を持てなくなる」と述べ、予算案の実質審議入りに応じない可能性を示唆した。そのため、自民の御法川信英国対委員長代理は記者団に「正面から受け止める」と強調。石井準一参院国対委員長も「5日に間に合うようリストを作りたい」と述べた。
ただ、自民内では「とても間に合わない」(幹部)との声も出ており、対応に苦慮しそうだ。