冬の夜の幻想的な雰囲気を楽しんで―。白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)の中核施設国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)は基本展示室の照明の照度を落とし、来場者に手提げ照明を持って展示資料を観覧してもらう光の特別演出を行っている。5月12日まで。
第5回テーマ展示「ウポポイナイトミュージアム」(2月18日まで)の一環。同展示は人気絵本のキャラクター「おばけのマール」を案内人としており、内容に沿って会場の照度を落としている。
基本展示室では資料の周りを淡い紫色の光で照らし、天井に淡雪と星空をイメージした光の演出を施した。入場者には丸い月をイメージした発光ダイオード(LED)の手提げ照明を無償で貸し出し(1グループに一つ)、これを手に会場を巡ってもらう。入り口近くには、照明を乗せると5秒ほど、会場全体が3種類の光に彩られたり、サルルンカムイ・リムセ(ツルの舞)やイヨマンテ・リムセ(熊の霊送りの舞)の音声が流れたりする演出を楽しめるブースも設置した。
観光庁が進める「観光再始動事業」の採択を受けた旅行会社HIS(東京)が、文化庁やアイヌ民族文化財団と連携して企画した。春節(旧正月)の時期に開催される千歳・支笏湖氷濤(ひょうとう)まつり、さっぽろ雪まつりの海外ツアー客を誘客する目的もあり、佐々木館長は「演出は新たな試み。来場者の反応などを見ながら夏以降の演出を考えていきたい」と語る。また「冬の夜の雰囲気と共に展示資料の鑑賞を楽しんで」と呼び掛けている。
月曜休館で、2月19~29日も休む。月曜が祝日の場合は翌日休館。入場にはウポポイの入場料が必要。