色鮮やかな花と美しい曲線を描く茎や枝に魅了される。田中弘美さん(82)=苫小牧市花園町=は慣れた手つきで一厘の花を生き生きとした姿へ変化させる。
生け花に出合ったのは18歳の時、就職先の会社にあった華道部に入部したのがきっかけ。「花が持つ色や香りは心や身体を元気にさせる。生ける瞬間は心が落ち着いて、自分の世界に入れるのがいい」と語る。
最も重要なのは花や草木が持つ、それぞれの美しさを最大限に活用すること。同一色になるのを防いだり、強調し過ぎたりしないようにするのがポイント。剣山の中心は茎が密集するように調節し、上に向かって放射状にラインを表現すると美しい作品につながるという。「同じ素材を使用しても感性は人それぞれ違うので、全く違う作品になるのが面白い」と話す。
「エンジョイクラブ お花教室ことりクラブ」を主宰。普段は苫小牧市内で子どもや大人に教室を開き、生け花を通じて礼儀作法や美的感覚を伝えている。「時代とともに生徒の感性に変化があり、作品を見るたびに奥深さを感じる。教える側も学びがあり、毎回の活動が楽しい」と笑顔を見せる。
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池坊苫小牧支部引立教授。毎週第4火曜日の午前10時から「とまみん池坊いけ花教室」を開講している。問い合わせは携帯電話090(2692)7682。
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