京都アニメーション第1スタジオが放火され、36人が死亡、32人が重軽傷を負った事件で、殺人などの罪に問われた青葉真司被告(45)の裁判員裁判の判決が25日、京都地裁(増田啓祐裁判長)で言い渡される。
青葉被告は起訴内容を認めた上で、京アニのコンクールに落選して、小説のアイデアを盗用されたことが動機だと説明。「筋違いの恨み」か「妄想の影響」か。刑事責任能力の有無や程度が最大の争点となっている。
昨年9月5日に始まった公判は同12月7日の結審まで22回にわたって開かれ、(1)事件に至る経緯や動機(2)責任能力の有無(3)量刑―の論点ごとに審理を進めた。それぞれについて検察、弁護側双方が冒頭陳述を行い、同11月6日には責任能力などに関する中間論告と弁論を実施。裁判官と裁判員は量刑審理に入る前の中間評議で責任能力についての結論を出しており、今月25日の判決で明らかにされる。
検察側は結審前の論告で、「(盗用などの)妄想の影響は限定的だ」とした上で、日本の刑事裁判史上、被害者数が突出して多く「類例なき大量放火殺人事件だ」と指摘。強固な殺意に基づく計画的な犯行で、動機も「理不尽そのもので、身勝手極まりない」として死刑を求刑した。
一方、弁護側は青葉被告が事件当時、重度の妄想性障害により「心神喪失か耗弱状態だった」として、無罪か刑を軽くするべきだと訴えている。
青葉被告は被告人質問で、京アニ作品に感銘を受けて書いた小説を、同社が落選させたり、盗用したりしたとの思い込みを主張。結審前日になって初めて遺族に謝罪の言葉を口にした。