能登半島地震で大きな被害を受けた石川県珠洲市と能登町の公立中学の生徒計141人が21日、集団避難のため、それぞれバスなどで地元を出発し、金沢市内の県スポーツ協会宿泊施設「医王山スポーツセンター」に到着した。学習機会の確保が目的で、滞在は最長3月末までを想定している。
この日避難したのは、珠洲市の生徒199人のうち102人、能登町が247人のうち39人。
珠洲市民図書館前では午前10時ごろ、小雨が降る中、大型バス2台に生徒らが続々と乗り込んだ。緑丘中1年の沢村駿さん(12)は「あまり勉強ができなかったので、久しぶりの授業や友達に会えるのが楽しみ」と話した。母で看護師のめぐみさん(44)は「こっちで勉強できないより、避難した方がいい。仕事上、コロナ禍で会えない時もあったので心配はしていない」と語った。
約6キロ先の集合場所で乗車した宝立小中学校の谷内大翔さん(14)は「友達と久しぶりに会えてうれしい」としつつ、「違う場所で勉強するのは緊張するし、家族と離れるのも寂しい」と吐露。母加奈子さん(44)は「2カ月は長いが、それでも頑張って勉強してほしい」と応援した。
施設は8人部屋。授業は生活に慣れた段階で再開する。女子生徒の一人は「2カ月も家族と離れるのは初めて。不安はあるけど、集団生活のドキドキ、ワクワク感もあります」と話した。
地元に残る生徒もいるため、珠洲市は22日までに全11の小中学校で登校を再開し、避難先とつなぐオンライン授業を検討。能登町でも同日から小中学校全9校で始業する。
輪島市では17日、市立中学3校の生徒401人のうち258人が最長2カ月間の予定で、県南部の白山市にある宿泊体験施設に避難した。県教育委員会は学校再開の状況を踏まえ、帰宅の要望にも応じる。担当者は「保護者の不安は承知している。教員らと協力し生活と学習を支えるので安心して過ごしてほしい。心のケアも行う」と述べた。