支笏湖といえば水がきれいだというイメージをお持ちの方も多いと思います。支笏湖ブルーと呼ばれる透明度の高い水質は2007~17年度まで11年連続で日本一に輝いています。これは環境省による公共用水域水質測定による結果で、毎年行われているものです。
水質の指標となるのはCOD(化学的酸素要求量)というもので、この数値が低いほど水質が良いとされています。一般的には水中には生活排水やし尿などいろいろな種類の「有機物」が存在していて汚れの原因になっています。これらの有機物は「微生物」が分解してくれますが、その際に酸素を消費します。なので有機物が少なければ必然的に消費する酸素量、つまり酸素要求量が少なくなるのです。逆に酸素要求量が多くなれば水中は酸欠状態になり生物が生息するのには適さない環境になってしまいます。
日本一だった07~17年度のCODの平均値は1リットル当たり約0・6ミリグラム、2位となった18年度以降は同約0・7ミリグラムでした。わずかに高くなっているのは降雨などの影響だと考えられますが、大きな変化はなく現在も全国トップクラスの水質を保持しているのは間違いありません。ちなみに透明度は第4回環境省自然環境保全基礎調査・湖沼調査(1993年)の結果、17・5メートルで全国4位となっています。
支笏湖では温泉街などの生活排水は地下管を通って千歳市の浄化センターまで運ばれ処理されています。流入する河川の少なさや、栄養塩類濃度が低く生物生産活動が活発ではない貧栄養湖であることなども水質の良さの理由に挙げられます。
例年通りなら今月中にも最新(2022年度)の公共用水域水質測定結果が公表されます。順位も気になるところですが、それよりも大切なのはこのような指標があることを広く知ってもらい、美しい支笏湖を守っていくために皆で協力していくことだと思います。(支笏湖ビジターセンター自然解説員 仲澤和隆)