自民党は11日、派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件を受け、政治改革や再発防止の方策を検討する「政治刷新本部」の初会合を党本部で開いた。最高顧問に就いた菅義偉前首相らが「派閥解消」を主張。これに慎重な声も上がった。月内に中間報告を出す方針だが、意見集約が難航する可能性もある。
本部長の岸田文雄首相(党総裁)は冒頭、「政策集団(派閥)、党の政治資金を巡って疑念の目が注がれている。国民の信頼回復へ自ら変わらなければならない」と強調。資金の透明性向上や派閥の在り方に関するルール作りなどを指示した。
菅氏は、リクルート事件を受けて1989年に党が策定した「政治改革大綱」に派閥解消が触れられている点に言及。「スタートラインとして非常に分かりやすいのが派閥の解消だ」と訴えた。
菅氏と同様に無派閥の小泉進次郎元環境相も「派閥はなくしたらいい」と発言。他に数人の無派閥議員が同調した。
これに対し、派閥について「新人教育、政策研究の場としての役割がある」などとして必要性を指摘する意見も複数出た。 党独自の取り組みとしては他に、派閥パーティー収支の党監査や銀行振り込みの徹底、売り上げに応じた議員へのキックバック(還流)禁止が浮上している。どこまで踏み込んだ改革案を打ち出せるかが焦点となる。
各党と協議する政治資金規正法などの改正に関しては、茂木敏充幹事長が「より厳格な責任体制の確立に向けて検討したい」と述べた。
刷新本部の役員は38人。最高顧問には麻生太郎副総裁も就き、茂木氏ら党役員が本部長代行・代理に並んだ。小泉氏ら青年局長・女性局長経験者も「幹事」などとして加わった。派閥所属は全体の7割超で、疑惑の渦中にある安倍派は10人を占める。
11日の会合には米国訪問中の麻生氏らを除く31人が出席した。16日の次回会合で党所属の全国会議員を対象に意見を聴取。有識者からのヒアリングも別途行う。