1億円のマグロ

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  • 2024年1月11日
1億円のマグロ

  新春の話題の一つに東京・豊洲市場の初競りがある。今年はクロマグロ1匹に1億1424万円の値が付いた。1億円超は4年ぶりで魚は238キロの超大物だった。ご祝儀でもこれほどまで競い合った買い付け側の思惑と期待感は相当だ。

   初競りに限らず高値が付く天然クロマグロは青森・大間産など津軽海峡のものが有名だが、遊漁では近年、積丹や日高沖などでも注目を集めている。国際的な資源管理のルールがあり、日本では遊漁も30キロ未満はリリース、キープは1日に1人1匹。港での釣りのように気軽にできるものではない。シーズン途中でも採捕枠に達すれば漁業者と同様に禁漁となる。本道周辺のマグロ資源は回復傾向の見方もあり、潮流や水温の変化、餌が増えていることが関係しているかもしれない。主産地というと西日本の印象があったフグも道東を中心に著しく増えている。既にフグの漁獲量は本道が全国一だ。

   気候や環境の変化によっても回遊魚は増減する。フグやブリのように漁獲が急増しても課題は浮上するが、極端に漁獲が減少した資源の対策こそまったなしと思う。特にサケはふ化事業で資源を確保してきた。今年こそ回復への見通し、変化への対応の方向性が欲しい。胆振日高の生産者にとって深刻な問題だ。(司)

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