自民党は10日の臨時総務会で、派閥の政治資金パーティー収入を巡る裏金事件を受け、政治改革や再発防止の具体策を検討する「政治刷新本部」の設置を決めた。幹事には小泉進次郎元環境相、三原じゅん子参院議員ら無派閥の中堅・若手も登用。月内の中間取りまとめを目指し、11日に初会合を開く。政治資金規正法の厳罰化など踏み込んだ対応を打ち出せるかが焦点だ。
本部長に就いた岸田文雄首相(党総裁)は総務会で「何としても回復しなければならないのは国民の政治に対する信頼だ」と指摘。2021年の総裁選で掲げた「党のガバナンス改革」に「最大・最優先の課題として取り組みたい」と語った。
首相は刷新本部の最高顧問に麻生太郎副総裁と菅義偉前首相を起用。本部長代行に茂木敏充幹事長を充て、本部長代理に党四役クラスを並べた。党内6派閥の現職会長が3人含まれ、有力議員ほぼ勢ぞろいの布陣だ。幹事長は首相側近の木原誠二幹事長代理が務める。
全体では33人の大所帯。幹事や事務局に小泉氏ら青年局長経験者、三原氏ら女性局長経験者を配置したが、裏金疑惑のある安倍、二階両派を含む6派の議員が全体の7割超を占めており、党内からは早くも「抜本改革など無理だ」(無派閥中堅)との声が出ている。
刷新本部では法改正と党独自の対策の双方を検討する。首相は26日召集の通常国会で規正法を改正する可能性に既に言及しているが、党内の慎重論も踏まえ、具体的な内容には踏み込んでいない。
これに対し、公明党や立憲民主党は連座制導入を含む規正法違反の厳罰化やパーティー券購入者の公開範囲拡大を提唱。公明は使途を明らかにする必要のない「政策活動費」の透明化も求め、共産党は政治資金パーティーを含む企業・団体献金の全面禁止を訴えている。
自民の独自対応を巡っては、首相は(1)党によるパーティー収支監査(2)パーティー収支の銀行振り込み徹底(3)派閥の在り方に関するルール作り―を提案しているが、いずれも派閥存続が前提だ。無派閥の菅氏は「派閥解消」を主張する意向で、議論は難航も予想される。