ホテルなど2次避難所に入るまでの一時避難所となった石川県の「いしかわ総合スポーツセンター」(金沢市)には9日、輪島市や珠洲市、能登町から妊婦や小さな子を持つ家族ら11人が移り、身を寄せた。
午後2時すぎ、マイクロバスが到着すると続々と降り立ち、笑顔を見せる子の姿も見られた。
妊娠3カ月ほどという天野有希子さん(29)は輪島市から1人で避難してきた。市職員の夫は現地にとどまり対応に当たっている。「おなかの赤ちゃんの命を助けてもらえたのはすごく感謝している。夫がまだ残って頑張っていて心苦しいが、『絶対生きて会おうね』と来ました」と言葉を詰まらせつつ、「元気に生まれてほしい」と話した。
夫と2~5歳の子どもの計5人で輪島市の孤立集落から身を寄せた介護士の谷内香奈子さん(42)は「元日から風呂に入れていなかったので、子どもをやっと入れてあげられる」とほっとした様子をみせた。
「向こうでは暖が取れず、断水や道路もいつ復旧するのか分からないのが不安だった。集落はみんな放棄するつもりみたい」と明かし、「子どもと離れたくない。家族がバラバラな時に発生していたら、しばらく会えなかったかもしれない」とも語った。
この日から2次避難所への受け付けも始まり、スタッフが高齢夫婦から「親戚が近くにいる所にしてほしい」などの要望を聞き取った。スタッフは取材に対し、「珠洲市出身であれば、被災者が同じ場所にそろっているなど、コミュニティーへの配慮をできるだけしていきたい」と話した。