自販機

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  • 2024年1月9日
自販機

  札幌の繁華街すすきので「昆虫食」の自動販売機を見つけた。タガメサイダー(500円)、コオロギチョコ(350円)、タランチュラ(2700円)などとある。学生の頃、石狩湾新港近くの釣り具店前に設置されていたイソメの自販機には何度かお世話になったが、これらは魚の餌ではない。

   国連の専門機関が四十数年後に到来するとされる深刻な食糧不足の解決策の一つとして提示したことで、急速に注目度が高まっている昆虫食。意識してみると昆虫食の自販機は、各地で着実に増えている。食糧難で主食となった遺伝子組み換え食品が、自販機で売られているSF映画のワンシーンを思い出した。

   コンビニの普及で自販機自体はかなり減ったがカバー範囲は拡大の一途。すすきのかいわいでは2年ほど前、SNSでショートケーキ缶の自販機が話題となり平日でも売り切れ商品が相次いだ。かつてお湯を注いで出すカップ麺自販機に感動したが今や肉や卵といった生ものを扱うものもあり、JR札幌駅構内の手作りサンドイッチ自販機には行列ができていた。時代を反映する自販機。基本的にはまだ生き物を扱っていないが、倫理観や価値観が変化していけばそこに聖域は無くなっていくのかもしれない。 (輝)

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