明けましておめでとうございます。皆さまは初夢を見られましたか。初夢に見ると縁起が良いものとして「一富士、二鷹(たか)、三茄子(なすび)」ということわざがあります。正月ということで、この縁起の良い「鷹」について取り上げてみます。
皆さまは「タカ」と「ワシ」の違いをご存じでしょうか。実は生物の分類学的にはどちらもタカ目タカ科に属する野鳥です。しかし、大きさによって呼び方が異なっており、その土地で見られるタカの仲間のうち、大きいものをワシ、小さいものをタカと呼ぶ傾向があります。例外として身近なトビがいますが、こちらはタカの仲間です。
さて、ウトナイ湖ではこれまで13種のタカの仲間が確認されていますが、きょうご紹介するのは冬のウトナイ湖を代表するオオワシとオジロワシです。日本国内で見られる野鳥としては最大級で、翼を広げると2メートル以上になります。最近では一年を通してウトナイ湖周辺でオジロワシを見られるようになりましたが、冬になると樺太やカムチャッカから南下してくるオオワシやオジロワシが増えるため、今は特に見やすい時期です。
12月からの厳冬期になると水深の浅いウトナイ湖は湖面が凍り付きます。ワシたちはその氷の上にいることが多いのですが、行動を見ていると全く飽きません。つがいで仲むつまじく鳴き交わし始めると、少し離れた別のつがいも張り合うように鳴き交わしを始めたり、ワシよりもずっと身体の小さなカラスに不意をつかれて餌を横取りされてしまったりすることもあります。
中でも私のお気に入りは、氷の上を歩く姿です。ワシのような大きな野鳥は飛び立つのに多くのエネルギーを使うため、短い距離の移動には大きな足で歩いたり、走ったりします。その様子は恐竜をほうふつとさせるような迫力があるのですが、肩を揺らしながらドタバタと移動する姿は普段の風格とは違ったユーモラスな一面を見せてくれます。
新しい年の始まりに1年間の幸せを願って、縁起の良いワシたちを見にウトナイ湖へお越しください。皆さまのご来訪をお待ちしております。
(日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・池淵朋華レンジャー)