備え

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年1月5日
備え

  足元から鳥が立つ、とは2024年を迎えた元日の出来事を象徴するようなことわざだ。北陸地方を襲った最大震度7の能登半島地震。苫小牧や周辺の地域が直接、被害に遭った災害ではないにしても、予期せぬことに緊張が走った。

   被災地の北陸各地では行方不明者の懸命な捜索が続いている。一刻も早い救出を願うばかりだ。災害の全容はまだ明らかになっていないが、津波による人的な被害も出ているとの情報は残念でならない。東日本大震災の教訓を生かす時間もなかったのか。改めて考えさせられる。

   津波警報や大津波警報が発出されるのと同時に、テレビやラジオのニュースは「逃げる」ことへの強い呼び掛けを続けた。各放送局が東日本震災から学んだ情報発信の方法だ。高台に逃げる住民の姿が映像で確認され、インタビューで「とにかく高い方へ逃げた」との声も多数聞かれた。それでも被害は起きた。

   地震への備えは防災用品をそろえたり食料を備蓄することばかりではない。心の備えを繰り返し確認することが大事だ。2018年の胆振東部地震の被災地としても忘れてはならない。今回の地震で傷んだ地域の復旧が一段落したら、ぜひ観光で訪れ支援したいと思う。今は被災者の気持ちに寄り添うしかない。(昭)

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