自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとされる事件で、東京地検特捜部は29日、政治資金規正法違反容疑で、大野泰正参院議員(64)=岐阜選挙区=の岐阜県羽島市内の地元事務所と自宅を家宅捜索した。議員側への強制捜査は3日連続。
事務所の捜索は午前10時半ごろ開始。約6時間半後、押収物が入ったとみられる段ボール箱15個以上を積んだワゴン車が事務所を出た。
大野氏は同派から約5000万円のキックバック(還流)を受け、政治資金収支報告書に記載していなかった疑いがあり、28 日に東京・永田町の議員会館事務所などの関係先も捜索を受けた。
特捜部は押収した資料を分析するとともに、松野博一前官房長官ら中枢幹部や還流額が大きい議員らから任意で事情聴取するなどして実態解明を進めている。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券について、所属議員の当選回数や役職によって販売ノルマが設けられ、それを超えて売った収入を議員側に還流させていた。ノルマ超過分は派閥や議員側の収支報告書に記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
金額は2022年までの5年間で大野氏のほか、池田佳隆衆院議員(57)=比例東海=と谷川弥一衆院議員(82)=長崎3区=が4000万円超と高額。松野氏、高木毅前党国対委員長、世耕弘成前党参院幹事長を含め10人以上が1000万円を超えるとされる。
特捜部は、19日に安倍派の派閥事務所などを捜索。27日には議員側の強制捜査に着手し、池田氏の議員会館や地元名古屋市の事務所などを捜索していた。