この秋、むかわ町の穂別高校生が地元特産品のカボチャを使ったスイーツを考案した。10月上旬に札幌市内で開かれた高校生チャレンジグルメコンテストinHOKKAIDOでは2品エントリーし、クッキーが「味の匠賞」に選ばれた。その裏側にあったのは単なるお菓子づくりではなく、地域や母校への思いだった。
スイーツ考案のきっかけとなったのは、1年前にあった総合的な探究の時間の成果報告会で当時の穂別高生が規格外農作物を使ったスイーツの商品化について提言したことだった。
町職員の吉田直司さん(56)がその内容に共感し、カボチャのピューレを用いたスイーツメニューの考案を同校に打診したところ、現3年生がプロジェクトを引き継ぐ形でお菓子づくりがスタート。カボチャを使ったクッキー、さらにホウレンソウを加えた大福が誕生した。
同校は2025年度の生徒募集停止、27年3月の閉校が決まっており、「穂別高に何かしてあげたい。取材してもらえないか」と吉田さんから話を受けたのはそんなタイミングだった。コンテストの前後で同校を訪れ、一人の女子生徒が「穂別高校の名前を残したい」と思いを打ち明けた。コンテストでは学校への思いの他に穂別の魅力も盛り込んでプレゼンテーションを行った。
そんな思いに地域の大人たちが応えた。穂別高生が考案したスイーツは、吉田さんもメンバーとして加わる住民有志のまちなか再生グループ「穂別スクラムプロジェクト」でレシピを預かり現在、整備が進む新たな穂別博物館やまちなか交流施設などから成る復興拠点施設で商品として販売することを検討中。施設が完成するのはもう少し先になるが、彼女たちの足跡がどんな形で人々の手に届くのか、今から楽しみだ。(石川鉄也)
終わり