ランタン

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2023年12月26日
ランタン

  苫小牧市が23日に開催した「シンボルストリートテラス」に行ってみた。市はJR苫小牧駅前の12月のイルミネーションをやめ、来年1月下旬から新たなにぎわい創出事業に衣替えする予定で、そのプレイベントの位置付けという。

   駅前本通りの100メートルに満たない区間が歩行者天国。ミニスカートにロングブーツの女性や「きょう一番寒いんじゃね?」と語尾上げで会話するカップルは普段の駅前本通りではほぼ見られない姿だ。苫小牧出身のEXILE SHOKICHIさんの市民会館でのライブに合わせた企画の効果だろう。夜にはスカイランタンで通りを彩る演出も行われた。

   ランタンで思い出すのは秋田県で見た「上桧木内の紙風船上げ」。高さ6メートルほどの巨大な紙風船100個に武者絵や願い事を書き、灯火を付けて2月の厳寒の夜空に打ち上げる。四方を山に囲まれた小さな農村に大勢の人が集まるのは、存続の危機にさらされながらも観光、レストラン列車に知恵を絞り、当日も臨時列車を運行する秋田内陸縦貫鉄道の存在と、五穀豊穣(ほうじょう)を願い100年以上続いてきた歴史があるからだ。にぎわい創出のさまざまな試みは、一朝一夕に実を結ぶものではないことを覚悟して、息長く向き合わなければならない。(吉)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。