自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を裏金化していたとされる事件で、東京地検特捜部が同派幹部の松野博一前官房長官、高木毅前党国対委員長、世耕弘成前党参院幹事長から任意で事情聴取したことが25日、関係者への取材で分かった。
特捜部は24日、同派座長の塩谷立・元文部科学相からも任意聴取。裏金化が派閥主導で組織的に行われた疑いがあるとみて、派閥幹部としての関与の有無などを確認したとみられる。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職によってノルマが設定され、それを超えて売った収入を議員側に還流させていた。超過分は派閥や議員側の政治資金収支報告書に記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
同派は2022年5月のパーティー開催前、ノルマ超過分の還流を取りやめる方針を決め、議員側に周知した。しかし、議員側から反発の声が上がり、数カ月後には撤回。前年までと同様にノルマ超過分の還流があったという。
こうした動きについて、特捜部は同派幹部らが裏金化の仕組みを把握した上で是正を図ろうとした可能性もあるとみて捜査。幹部らの説明を踏まえ、派閥の収支報告書の不記載に関与したかどうかなどを判断するとみられる。
同派では大半の議員側が裏金としてキックバックを受けていたとみられ、収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2018~22年の5年間の総額は約5億円に上る可能性がある。松野、高木、世耕3氏を含む10人以上が1000万円を超えるとされる。
同派の会計責任者は任意聴取に不記載を認める供述をしているという。