8 電子化の挑戦 動画発信、初の試みも

  • 特集, 記者ノートから2023
  • 2023年12月22日
8 電子化の挑戦 動画発信、初の試みも

  電子版の読者をいかに拡大するか試行錯誤した1年だった。担当を任され、思い描いたうちの1割ほどしか実現できなかったが、紙面では伝え切れない地域の情報を動画で発信することに注力。弊社では前例のなかったことに挑戦し続けた1年だった。

   紙面と電子版の連動企画として、苫小牧市内で文化活動に励む人たちを取り上げ、人柄や生き方、思いなどを紹介する「まちのクリエーター」をスタートさせた。紙面の限られたスペースでは伝え切れないそれぞれの魅力を動画で撮影し、編集して発信した。

   8月には苫小牧の夏の風物詩、とまこまい港まつりの協賛事業で8800発が打ち上がった「とまみん苫小牧百年花火」のライブ配信に挑戦。初めての試みで失敗も多かったが、地域団体の協力も得てやり切ることができたし、何より第一歩を踏み出せたことが大きかったと思っている。

   国内新聞の電子化の先駆けは2010年3月、日本経済新聞が電子版を創刊したことに始まる。デジタル移行の成功事例として取り上げられることが多いが、同社が公表している電子版購読者数を見ると、無料会員を含めれば増加傾向が見られるものの、有料会員に限定すると伸び悩んでいる様子がうかがえる。

   日本新聞協会の発表では、22年の新聞発行部数は約3085万部。前年比6・6%減と減少傾向に歯止めがかからない。SNSなどで気軽に情報を受け取り、自ら発信することができる時代。新聞の新たな価値を見いだしていく必要がある。

   「新聞とはこういうもの」という固定概念から抜け出し、「年だからネットのことは分からない」ではなく、リテラシーを高めどのように紙と電子を活用、共存させるか―を念頭に今後も挑戦を続けたい。(松原俊介)

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