岸田文雄首相(自民党総裁)は22日、派閥による政治資金パーティー収入の裏金化疑惑を受けた党役員人事を正式に決める。安倍派の萩生田光一政調会長の後任に無派閥の渡海紀三朗元文部科学相(75)を起用。同派の高木毅国対委員長の後任に無派閥の浜田靖一前防衛相(68)を充てる。首相は国民の信頼回復に向けて新体制で政治改革に取り組む方針で、21日には党青年局に対し全国の若手の党員から意見を聴取するよう指示した。
渡海、浜田両氏はともに衆院当選10回のベテラン。渡海氏は政策通として知られ、浜田氏は国対委員長経験がある。萩生田、高木両氏は14日、安倍派の政務三役の辞任に合わせて辞表を提出したが、首相は2024年度予算案が閣議決定される22日まで後任人事を先送りしていた。
渡海氏は21日、首相官邸で記者団の取材に応じた。首相から20日に電話で政調会長ポストを打診され、「私でよければ」と受諾したことを明らかにした。
渡海氏は裏金疑惑について「リクルート事件の時のように国民の信頼が非常に落ちている」と危機感を表明。「党全体の問題だ。政治の仕組みをどうするか、もう一度根本的に議論しなければいけない」と述べ、派閥の弊害除去や政治資金の透明化などに意欲を示した。
政治改革に向け、首相は21日、党青年局の中曽根康隆局長代理らを官邸に呼び、全国の若手党員らの声をできる限り早く聞き取り、自身に報告するよう指示した。
首相は13日の記者会見で「党所属の議員と膝詰めの議論を集中的に進める」と表明しており、近く議論を始めたい考え。東京地検特捜部の捜査の推移を見極め、政治改革を検討する「新たな枠組み」を党内に設ける方針だ。