政府は21日、AI戦略会議(座長・松尾豊東大大学院教授)を開いた。文章や画像などを自動作成する生成AI(人工知能)に関し、国内事業者向けの指針案を提示。企業に「人間中心」や「公平性」「プライバシー保護」など10原則を求めた。また、来年1月をめどにAIの安全性評価のための研究機関を新たに設置することも決めた。
岸田文雄首相は会議で「AI技術やビジネスは今後も変化し続ける。規制と利用促進を一体的に進める方策を引き続き議論してほしい」と述べた。 指針案は国際的なルール作りを目指す先進7カ国(G7)の枠組み「広島AIプロセス」での議論を踏襲。AIの開発企業、サービス提供企業に加え、AIの利用企業も対象としている。今年度中に正式決定する。
「人間中心」の原則に関連して、企業には、人権や多様性の尊重、偽情報対策を求め、人間の意思決定や感情を不当に操作する開発や提供、利用を行わないよう要求。「公平性」確保のため、開発や利用に際して、差別や偏見を招かないよう留意を求めた。
この他、開発企業には、適切なデータの学習や安全対策などを通じて「安全性」「セキュリティー確保」の原則を尊重するよう明記。利用企業には個人情報の不適切な入力をしないなど「プライバシー保護」の原則順守を促した。
新たに設置する公的機関「AIセーフティー・インスティテュート」は、AIの安全性に関し、国際的な連携や評価手法の研究などを目的とする。経済産業省が所管する独立行政法人の情報処理推進機構に設ける方向で、民間からも人材を集める方針だ。