白老

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  • 2023年12月21日
白老

  愛知県常滑市にある澤田酒造を訪れる機会があった。清酒「白老」(はくろう)を製造しており、その名称から白老町とも交流がある。3年前、酒蔵が大きな火災に遭い、店内ではその写真も目にして心が痛んだ。

   酒造を訪れたのは短時間だったが、店内では歴史ある酒蔵の雰囲気を味わうことができた。社員の方から声を掛けていただき、お土産もいただいた。ちょっとした心遣いに交流の促進を祈った。

   白老町と澤田酒造の間では、かつてアイヌ文様にちなんだ商品が完成したことがある。さらに2014年、戸田安彦前町長が澤田酒造を訪れ、アイヌ文化とコラボした特産品開発を提案した経緯もある。

   火災では酒造りの中枢となる麹室が全焼。新酒は一部商品のみの出荷を強いられた。火災のニュースは白老町にも入り、町役場や観光協会などの有志が応援セールと銘打って注文を募った。100本を超える注文が集まった。

   今年11月、東京白老会の会場に澤田薫社長の姿があった。交流の絆は大塩英男町長にも受け継がれた。「将来的に一緒に何かできないか―と思う。これからも縁は大切にして、一度訪問してみたい」。町長の期待が伝わってきた。 (高)

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