闘う

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2023年12月20日
闘う

  ヒグマと闘ったことがある―というのは夢の中での話。どこから出るのか聞いたこともない大きな声で怒鳴り始め、掛け布団を蹴り飛ばすらしい。10年ほど前から、そんな騒動を年に数度、夜中に引き起こし家族に迷惑を掛けている。相手は多くの場合、クマ。困ったものだ。

   子育て中に夜驚(やきょう)症という言葉を知った。当てはめてみたものの自分の年齢には、どうも重なりにくい。

   山村育ちでも、クマを見たのは10歳頃までに2回ほど。いずれも遠くからの目撃で襲われてはいない。数年前、休日に山歩きに出掛けた日高町と上川管内南富良野町の国道で朝1頭、夕方に親子2~3頭を目撃した。子連れの母グマに威嚇されたが恐怖はそう大きくなかった。

   本で読んだ、1915年12月に留萌管内苫前村三毛別の開拓集落が襲われ8人が殺された惨事や、70年7月に日高山脈のカムイエクウチカウシ山で大学生3人が後をつけられ、殺された事件の恐怖が脳の奥深くに残っていて今年のように報道が続くと夢になって現れるのか―。

   11月中旬の報道では今年、全国で発生したクマによる死傷者数は過去最悪の196人。冬になり静まったかと思ったが16日には石川県白山市で3人が襲われ、重軽傷を負った。隔離生活が続く。(水)

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