選手の最高のプレーを ⑨桑原賢治マネジャー

  • 特集, 鷲の巣~チームを支えるスタッフ~
  • 2023年12月19日
選手の最高のプレーを ⑨桑原賢治マネジャー

  ―用具マネジャーの役割について。

   「例えばスケートの刃を研いだり、ヘルメットのバイザーを着けたりする。選手が防具を選ぶ際には、けがをしないようなサイズや形をアドバイスする。防具はほぼ輸入物なので、日本人の体格に合うよう長さをカットしたり、防具を固定するマジックテープを短くしたりと選手の要望に応える。遠征に行くときは、スケートの刃を研ぐ研磨機やスケートのエッジを交換するリベッターという機械など大きくて重たい物があるので、準備や梱包(こんぽう)、到着して開封して―というのは毎回大変」

   ―用具担当として意識していること。

   「競技に臨むためには、体の上から下まで防具で身を固める必要がある。選手が練習や試合でストレスを感じることなく、あらゆる用具を身に着けられるように事前準備している。毎試合、選手たちのスケートの刃の状態もチェックする。選手によって好みに違いがあるが、各選手が好む刃(溝)の深さなども頭に入っている。選手たちと世間話や他愛もない話をしながら意思疎通を図り、思いを込めて全選手のスケートを研磨している」

   ―アイスホッケーの経験から現在の道へ。

   「中学まで水泳をしていたので、高校では団体競技に挑戦しようと思っていた。東京の高校へ進学した際、アイスホッケー部への勧誘を受けたことをきっかけに活動を始めた。大学に進んでもプレーを続け、関東の強豪校の試合を見ると、その迫力やスピードに圧倒された。それ以来、競技の魅力に取りつかれた。アイスホッケーに携わり、名プレーヤーが育つ北海道で仕事に就きたい―という思いが沸々と湧き始め、卒業後は北海道のスケート用品専門店に就職した。競技のスピードや迫力も魅力的だが、スケートリンクの製氷後、誰も氷上にいない静けさや冷たさも全身が洗われるようで、その空気感も好き」

   ―今後の目標。

   「チームの一員としてリーグ優勝に向かって取り組んでいる。スケートの研磨の仕事については最近、アジアリーグで採用しているチームはない。自動研磨機とかも出てきて専門店でも使い始めているし、将来的にはその方向に進んでいくだろう。それまでは自分の感覚で研磨し、選手たちのプレーを後押ししていきたい」

   ▽プロフィル

   1963年8月12日生まれ、山口県出身。大学卒業後、スケート用品専門店に勤務。2006年に独立し、同時にチームに帯同。選手にとって最も大切な防具のメンテナンスなど、選手の用具に関する要望に応えている。

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