自民党の最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)が政治資金パーティー収入の一部を議員側に還流させ裏金化していたとされる問題で、同派では議員秘書が別の事務所に移った際などにキックバックや政治資金収支報告書に記載しないといった手法を伝えるケースがあったことが18日、関係者への取材で分かった。
東京地検特捜部は、安倍派内でキックバックによる裏金化の手法が秘書を通じて広まり、慣例になっていった可能性もあるとみているもようだ。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券販売について所属議員の当選回数や役職などによってノルマが設けられ、超過分は議員側にキックバックをしていた。ノルマ超過分は派閥や議員側の収支報告書に記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
こうした手法は、議員辞職で秘書が別の議員事務所に移籍するなどした際に伝えるケースもあり、次第に派閥内で広まっていったとみられる。収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2022年までの5年間では、同派全体で約5億円が裏金化された可能性がある。
これまで任意の事情聴取を受けた複数の秘書らは、キックバックや収支報告書への不記載を認め、「派閥側の指示で記載しなかった」「収支報告書への記載義務がない政策活動費なので記載の必要はない、と派閥から言われた」などと説明しているという。
政治資金規正法は、収支報告書の不記載・虚偽記載に5年以下の禁錮または100万円以下の罰金を定めている。