政府は18日、一般ドライバーが自家用車を使って有償で乗客を運ぶ「ライドシェア」について、タクシー会社の運行管理の下、来年4月から一部認める方針を固めた。タクシーが不足する地域や時間帯を限定して解禁する。20日にもデジタル行財政改革会議(議長・岸田文雄首相)を開き、方針を示す。
ライドシェアは道路運送法で原則禁止となっている。新たな方針では、需要の高まる時間帯や都市部・観光地を含めた地域に限り、タクシー運転手ではない一般ドライバーを活用できるようにする。交通手段を確保するのが難しい過疎地で、自治体やNPO法人に限定して有料の送迎を認めている現行の「自家用有償旅客運送」制度を拡充する。
安全性確保や事故時の補償に関する懸念を踏まえ、車両運行の管理や運転手への教育、車両整備などをタクシー会社に担わせることを想定している。一方、全面解禁に向けた法整備は来年4月以降に検討する見通しだ。
ライドシェアには、競争激化への懸念からタクシー業界に慎重論が根強い一方、観光地を抱える自治体などに導入への期待がある。タクシー運転手になるには2種免許が必要なため、一般のドライバーによる送迎を認めた場合、競争の公平性をどう確保するかも課題となる。
政府内では当初、ライドシェアに慎重論が強かったが、菅義偉前首相が段階的な解禁を主張するなど推進の動きが広がり、政府も検討を本格化させた。