◆5 苫小牧工業高校創立100周年 式典や記念碑で節目祝う ものづくり人材育成へ

  • この一年 2023, 特集
  • 2023年12月18日
◆5 苫小牧工業高校創立100周年 式典や記念碑で節目祝う ものづくり人材育成へ

  「時代のニーズに合わせたものづくり人材を輩出していきたい」―。苫小牧工業高校の諸橋宏明校長は力強く語る。社会のさまざまな分野で活躍する人材を育て、工業都市苫小牧や道内産業を支えてきた同校は今年、創立100周年を迎えた。10月に同窓生らが中心となって記念式典を行った他、新たなシンボルの記念碑「希望の丘」を設置。未来に羽ばたく生徒たちを温かく見守っている。

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   同校は、道内3番目の工業高校として設置を認可され、1923年4月に苫小牧町東小学校の屋内体操場を校舎に生徒127人で開校した。翌24年1月に苫小牧町末広町の校舎に移転し、83年9月に高丘の現校舎を完成させた。土木や建築、電気分野など、これまで2万8000人余りの各種技能者を出してきた。

   同校生徒たちの活躍は目覚ましく、今年の部活動に限ってみても、ソフトテニス部が全道新人大会で男子団体3位に輝いたほか、ハンドボール部が全国高校総体の室蘭支部大会で11連覇を達成。ものづくりの技術を競う高校生ものづくりコンテストでは、同校生徒たちが測量部門で初めて、化学分析部門で8年ぶりに、それぞれ全国大会に出場するなど躍動した。

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   100周年に向けて、2021年10月に協賛会を発足以来、生徒にシンボルマークを募集したり、100周年を祝う看板を設置したりと、準備を進めてきた。今年8月には記念事業の一環で、全校生徒らで「100th TOMAKO」の人文字を作成し、航空写真を撮影した。

   10月には同校体育館で記念式典を行い、来賓や生徒を含め1000人ほどが100年の歴史を振り返った。式典後には、04年に同校を卒業した人気ダンス&ボーカルグループEXILE(エグザイル)のメンバーSHOKICHI(ショウキチ)さんが登壇し「苫工での出会いは今も心に刻まれ、支えになっている」と熱く語った。

   校舎玄関前に高さ3・8メートルの記念碑も設置。樽前を拠点に活動する金属工芸家藤沢レオさんによる設計で、土台には同校の校訓「質実剛健」が勢いよく書かれている。

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   今年度は、諸橋校長自らが対応する入試相談室も開設し、次世代を担う生徒たちをサポート。少子高齢化や人口減少の進展で、ものづくり産業の縮小が懸念される中、同校はただ単に工業生産のみの従事者を増やすのではなく、さまざまな視点を持って多様な場面で活躍できる人を育てたい考えで、次なる100年を見据えている。

 (樋口葵)

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