自民党派閥の政治資金パーティー収入を巡る問題で、最大派閥「清和政策研究会」(安倍派)の所属議員99人のうち10人以上が1000万円を超えるキックバック(還流)を受け、政治資金収支報告書に記載していなかった疑いがあることが17日、関係者への取材で分かった。
東京地検特捜部は16日、同派議員への任意の事情聴取を開始。高額のキックバックを受けた議員を中心に順次聴取を行い、認識や資金の使途などについて確認を進める。
関係者によると、安倍派では派閥のパーティー券について所属議員の当選回数や役職などによって販売ノルマが設定され、ノルマ超過分は議員側にキックバックをしていた。超過分は派閥や議員側の政治資金収支報告書に支出、収入として記載せず裏金化していた疑いが持たれている。
収支報告書の不記載・虚偽記載罪の時効にかからない2022年までの5年間の金額は、大野泰正参院議員側が約5000万円、池田佳隆、谷川弥一両衆院議員側が各4000万円超とされる。松野博一前官房長官らも含め10人以上が1000万円を超えていたとみられ、同派全体では総額約5億円に上る可能性がある。
これまで任意聴取を受けた複数の秘書らは、キックバックや収支報告書への不記載について認め、「政策活動費なので記載義務はない」として派閥から記載しないよう指示されたなどと説明しているという。
派閥のパーティー収入を巡っては、「志帥会」(二階派)もノルマ超過分を派閥の収支報告書に収入として記載していなかった疑いがあり、不記載額は5年間で1億円を超えるとみられる。
特捜部は、安倍派と二階派の不記載などについて、政治資金規正法違反容疑での立件を視野に捜査している。