陸上自衛隊米子駐屯地(鳥取県米子市)の隊員食堂で、対話型生成AI(人工知能)のアイデアを基に開発した新メニューが登場した。隊員の生活を支える業務隊長が「新しい案を早く出すのはAIが得意」と、やりとりを重ねて完成させた。隊員からも好評という。
新メニュー「タラの変わり揚げ」はタラのフライに、高温で別に揚げた春雨を乗せて食感に変化を付けた。隊員の多様な好みに対応するためタルタル、チリなど5種類のソースを用意したのが売りだ。
開発のきっかけは、各駐屯地の業務隊が新メニューを競う中部方面隊主催の「ダイニング甲子園」。生成AIのニュースを見た山根木敏之業務隊長(51)が「自衛隊でも活用した方が良い」と考え、個人のスマートフォンでアクセスした。
「隊員が好きな魚は」「調理法は」などの質問をして方向性を固めて提供。その後、豆乳みそソースを追加して完成した。甲子園では決勝進出は逃したものの、味わった駐屯地隊員の評価は良かったという。
同駐屯地では、毎日約200人が食堂を利用する。食材費は1食390円程度という制限の中、大量に調理できるメニューが必要となり、「献立を考えるのは大変」(山根木隊長)な作業だ。
それでも「与えられた条件の中で最適解を出すのはやりがい」といい、AIを活用しながら「来年度はスイーツの開発がしたい」と考えている。