―トレーナーとして意識していること。
「マッサージや針を使った体のケア、試合中の応急手当て、試合後の選手の通院に同行して話を聞き、状態を見ながらリハビリしたり―といった役割がある。シーズンを通して選手と向き合い続けることで、個々の特徴も見えてくるが、けがなどの症状に対して原因や問題を予測し過ぎずに、その日の状態を聞きながらケアするようにしている」
―選手たちをケアする上で気を付けていること。
「当たり前だが、アイスホッケーは氷の上でスケーティングする競技。この特性によって股関節辺りの体の変化が他のスポーツとは大きく違って出てくると感じている。他競技にはない使い方をすることで股関節が張りやすかったり、障害の出やすい箇所も変わってくる。股関節を中心に体を見るようにしていて、動かし方や可動域、膝や骨盤といった部分の柔軟性も併せて考えている」
―トレーナー目線で試合を見ていて感じること。
「最初の頃は、アイスホッケーの試合展開やスピード感に目がついていかず、後から映像を見て詳細な状況を把握することが多かった。今は、試合の中でけがが起こりそうなシチュエーションに気を付け、けがをしないでほしいと思いながら試合を見ている。けがをした選手が試合に出場できない期間、その過程を間近で見てるので、氷上に復帰した姿を見ることができる瞬間が一番うれしい―というか『良かったな』という気持ちになる」
―4年目、チームにこれまで携わって感じたこと。
「一つのチームで長く同じ時間を過ごすことが初めて。トレーナーとして、チームの一員として、選手たちのいろんな側面を見ていく中で、自分は選手に一番いい状態で復帰してほしいと考えるが、必ずしもそこがベストなことなのか―ということを考えさせられることが多い。選手やチームの状況を考えて、自分の中でベターな選択肢を探っていくという考え方の方がいいのかなと思っている」
―トレーナーとして目指すこと。
「ケアは10人いたら10通りの方法があると思う。例えば複数のトレーナーがいるチームであれば、それぞれの観点から選手にいろんな選択肢を提供できる。このチームでは自分一人でやってる仕事なので、選手に提供する選択肢を多く持てるようになり、選手がトラブルを抱えたときに少しでも選択の幅を増やせたらいいのかなと思っている」
▽プロフィル
1989年2月27日生まれ、東京都出身。アイスホッケー経験なし。高校まで軟式野球。スポーツが好きで、携わる仕事がしたいという思いから、勤めていた会社を退職して資格を取得。2020年からレッドイーグルス北海道のアスレチックトレーナー。趣味はスポーツ観戦。