政局が目まぐるしい。自民党安倍派の政治資金パーティー収入の裏金化疑惑が広がりを見せ、岸田文雄首相は官房長官ら同派所属の閣僚らを交代。同派の副大臣の刷新も含めて新体制を発足させた形だが、国民の失った信頼を回復させることができるのか。そこは未知数だ。
国民の一人として、強く解明を求めたいのは裏金が何に使われたのかという本質的なことだ。疑問は多い。単純になぜ政治資金収支報告書に記載をしなかったのか。領収証を出せないような「活動」に使われていたとしたら言語道断だ。疑惑で名前が浮上している国会議員は、「捜査中」という常とう句で逃げるのではなく説明責任を果たすべきだ。
もう一つ分からないのが、これほどの疑惑が噴出しても政治資金規正法の改正議論がほとんど浮上しないことだ。しかも、与党だけではなく野党からも一向に聞こえてこない。なぜか。抜け道が多くざる法ともやゆされる、今の規正法は政治家にとって都合がいいのだろか。
そう勘繰りたくもなる。今回の裏金疑惑も、結果的に単純な記載漏れで終わらせてはならない。1988年のリクルート事件を機に国民からの批判が渦巻いた「政治とカネ」問題。35年を経ても政治改革の実現は果てしなく遠い。(昭)