白老町虎杖浜地区の宿泊、商業施設6社でつくる虎杖浜温泉地域循環バス運行協議会(福田茂穂会長)が、JR登別駅発着の無料循環バス「ゆたら号」の運行を始めて12月で1年を迎えた。会員企業が営む宿泊、商業施設付近に停留所を置き、運行日には1日平均約30人が利用した。観光客や町民の足になりつつあり、同協議会では今後さらに利用増を目指していく。
無料循環バスは、9人乗りと10人乗りのミニバン2台。同地区市街地とJR登別駅前商店街の交流人口増を見込み、2022年12月3日に運行を始めた。
コースは、JR登別駅を発着点に虎杖浜温泉ホテルや蒲原水産など国道や町道虎杖浜海岸通(通称=海産物ロード)沿いの停留所6カ所を1周約30分で結ぶ。午前は登別駅の次にナチュの森、午後は駅の次にホテルいずみを巡る。
始発の午前7時55分から最終便の午後6時15分まで計24便あり、登別駅発着の各方面への列車51本に対応する。昨年12月から1月末までは土日曜日と祝日、2月以降は宿泊客の需要を見込んで金曜日と祝前日も稼働した。
昨年12月3日から今年12月3日までに159日運行し、年間延べ4599人が利用した。利用者数を2カ月ごとに集計して比較すると、最も多かったのは8月4日~9月30日(運行日数28日)の1040人で、1日平均約37人が利用。これに続くのが6月2日~7月30日(同)の1002人、同約36人で、観光・行楽シーズンの利用が目立った。また、午前中は9時台、午後は1時台の利用が多く、各施設の利用者や従業員の送迎を軸に、観光客や地域住民にも利用されていることが分かった。
今後は、登別、苫小牧、室蘭方面からの旅行客を虎杖浜地区に誘導し、レジャーや買い物に利用されるほか、水産業者が軒を連ね屋外写真展の会場も兼ねる「海産物ロード」の観光遊覧バスとして需要が生まれる可能性もある。
同協議会事務局の担当者は「現在の利用者は宿泊客と各施設従業員がメインだが、今後はもっと町民や地区外の住民にも広がってほしい」と語り、「登別温泉地区の宿泊施設や町内各所に時刻表を配布するなどして、積極的な利用をPRしていきたい」と意気込んでいる。
同協議会の会員企業は、虎杖浜温泉ホテル、海の別邸ふる川、蒲原水産、虎杖浜温泉いずみ、北王観光アヨロ温泉、ナチュラルサイエンス。22年10月に発足し、燃料やドライバーの人件費など運行経費を負担し、バスの無料乗車を実現した。