新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが5月8日、「2類相当」から季節性インフルエンザと同様の「5類」に移行した。2020年1月に道内で感染初確認以降、3年余りに及んだコロナとの闘い。3月に国がマスク着用を個人の判断に委ねる方針を示すなど、徐々に平時を取り戻しつつあった中、コロナ禍も新たな局面に入った。
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5類移行により、限られた医療機関で行ってきた医療提供は、インフルと同様にどこでも受診が可能になった。保健所による健康観察や自宅療養セットの配布、検査キットの無料配送などの支援がなくなり、無料だった外来や入院の医療費は自己負担となった。ワクチン接種は引き続き無料で受けられるが、今年度末で無償接種は終わる予定だ。
感染者についても「全数把握」から、インフルと同じ「定点把握」に変更。コロナ禍では医療機関全ての感染者情報を毎日公表していたが、現在は定点医療機関の平均患者数を週1回出すのみ。コロナ禍では流行するたび発出された外出自粛要請もなくなり、今夏は「第9波」といわれる流行期はあったが、大きな混乱は起きなかった。
コロナ明けを待ちわびたかのように、人気イベントやスポーツ大会、町内会行事など「4年ぶり」の復活が本格化。8月に開催の夏の一大イベント、とまこまい港まつりでは「市民おどり」が再開した。高校野球など各種競技大会では、声出し応援が解禁された。10月には「苫小牧漁港ホッキまつり」も開かれ、約3万人の市民らが詰め掛けた。
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一方、コロナ禍では影を潜めていた感染症が苫小牧保健所管内(東胆振1市4町)で次々と流行した。7月には乳幼児がかかりやすい夏風邪「ヘルパンギーナ」が、16年以来7年ぶりの警報発令。一時は現行調査基準で最多の42・25人(警報基準は6人)と猛威を振るった。
インフルも11月30日に警報基準(定点当たり30人)を超過する48・63人。道感染症情報センターによる1999年の統計開始以降、新型インフルが大流行した2009年(10月5~11日)に次ぐ早さで警報が発令され、学校などの臨時休業が相次いでいる。
コロナは決して収束したわけではなく、今冬はインフル流行とともに「第10波」が起きる可能性も指摘されている。20年以降の「ジェネリック(後発)医薬品」製造メーカーによる不正の続出で、せき止めなどの薬不足は深刻だ。街中には再びマスクを着用する姿が多く見られるようになった。感染症に振り回されない日常が戻るのは、もう少し先になりそうだ。
(北畠授)