粉雪の舞ったきのうの朝、ごみ出しに外へ出た家人が大笑いしながら戻ってきた。「猫がスリップした!」。スマートフォンには、雪の上に点々と並ぶ猫の足跡。そのうち進行方向左側の一つが、10センチほどの長さにツーッと延びていた。
玄関前は水がたまりやすく、寒い日には凍って危険だ。氷の上に雪がサラッと積もった日は、危険度が最大になる。さすが4本足。転倒は避けたようだがヒヤッとして苦笑いをしたかもしれない。
ネズミが多かったせいか、昔はほとんどの家で猫が飼われていた。自分も18歳で家を出るまで猫のいる暮らしをしていた。何匹かの名前を覚えている。とら毛で立派な体格をしていたのはチビ。雄で夏の間は雌を求めて家出をして、秋になると帰ってきた。2~3日、遠くから飼い主の顔や声を確かめて、やがて自分の名を呼ぶ声に視線を合わせるようになり体を触らせるようになって、飼い猫に戻る。真冬は、飼い主の布団にもぐり込んで、湯たんぽの役目を務めてくれた。
高齢世帯の増える住宅街に、猫が増えている気がする。つい、餌をあげてしまう人が増えたのだろうか。昔と違って隙間が少なく、建具も戸締まりもしっかりしている。野良たちは家を決められただろうか。今年も残すところ半月―。(水)