政府は12日、首相官邸で「マイナンバー情報総点検本部」を開き、相次ぐトラブルを受けた総点検結果を取りまとめた。点検対象8208万件のうち8206万件で本人確認が終了。岸田文雄首相は同本部で、2024年秋に現行の健康保険証を廃止し、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」に切り替える方針を改めて表明した。
首相は「国民の不安払拭のための措置の進捗(しんちょく)状況を踏まえ、法令に基づき予定通り健康保険証の発行を来年秋に終了し、マイナ保険証を基本とする仕組みに移行する」と述べ、「まずは一度国民にマイナ保険証を使っていただき、メリットを感じてもらえるよう利用促進の取り組みを積極的に行う」と強調した。
デジタル庁は、ひも付け誤りが全体で計1万5907件に上ると明らかにした。このうち総点検で判明したのは8351件。総点検とは別に、健康保険証で7553件、労働者災害補償給付情報で3件のひも付け誤りが確認された。
公表結果によると、健康保険証1142件▽共済年金119件▽公金受取口座1186件▽障害者手帳5645件▽生活保護情報22件▽所得・個人住民税情報4件―などでひも付け誤りがあった。障害者手帳は5自治体で点検作業が続いており、12月中に終える見通し。
総点検は、マイナカードの個人向けサイト「マイナポータル」で個人情報を閲覧できる事務を対象に実施。ひも付け方法が不適切だったとみられる332自治体と1労働基準監督署で、税や障害者手帳など21事務を点検した。これとは別に、デジタル庁などは公金受取口座など3事務で先行的に調査していた。
一方、総点検とは別にマイナ保険証を精査したところ、住民基本台帳の氏名や住所と一致しないものが約139万件あった。漢字の間違いなどの可能性がある。このうち推計で約450件がひも付け誤りとみられる。来春をめどに確認作業を終える予定だ。